浅草で、古くからある、味のある寿司屋に行きたければ、一度は行ってもらいたい。
創業93年、かつては池波正太郎や吉行淳之介、さらに山口瞳までが通った、そして、こうした作家たちに実際に握っていた店主がいまだ、切り盛りしている老舗である。
と行っても、老舗ぶった、敷居の高い寿司屋ではない。
一人のおばあちゃんがやっている、そう、池波正太郎が自著「散歩のとき何か食べたくなって」で紹介している、「女」がやっている寿司屋だ。
しかし、実際、この方とお話をしたが、本人は市場が豊洲に移転してしまい、ちょっと疲れている。「もう、いいかなあ」と思っている。
そう、店をたたむ事を検討している。
本人も、相当のお歳だし、もうこの先、いつまでも味わえるとも思えない。
ちらっと寄って、熱燗を1、2本飲んで、つまみをちょこっといただくだけで癒される、貴重なお店だ。
ネタは確かである。
値段も高くはありません。
ガラリと扉を開けて、店に入ると、ちょっとびっくりします。
物見雄山でない、酒を愛する静かな方に、一度は行ってもらいたいお店です。
今のうちに。